ドライブレコーダーは見た!! 偽装事故で5000万円詐取容疑

テーマ ・ プライベート♪ カテゴリ ・ なし #20522
現役大学生が立ち上げたベンチャー企業は、交通事故を装った保険金詐欺を「仕事」とするダミー会社だった。警視庁交通捜査課に詐欺容疑で逮捕された拓殖大4年、団野陽介容疑者(23)=東京都足立区=らのグループは偽装事故を繰り返し、2年半余りで会社の休業補償名目などで損害保険会社から約5千万円をだまし取ったとみられる。団野容疑者は大学で詰め込んだ法律の知識をひけらかし、従業員らを操っていたが、意外な形で幕切れを迎えた。

■「もっと行け!」…記録された追突事故

レンタカーに搭載されたHDドライブレコーダーが、事故が偽装されていく一部始終をきちんととらえていた。

自動車用ドライブレコーダーは、イベントデータレコーダーとも言い、それは交通事故に関する情報を記録するために自動車に設置される装置である。

平成23年11月18日午後10時25分ごろ、東京都町田市内で、レンタカーが停車中の乗用車に追突する事故が起きた。レンタカーの運転手、椎名義安毅(よしあき)容疑者(36)=相模原市中央区=ら5人が首の捻挫などを訴え、損保会社に休業補償など計数千万円を請求した。

だが、損保会社側にとってはすんなり保険金を支払えるような案件ではなかった。深夜とはいえ、現場の道路は直線で見通しがよく、街灯にも照らされていた。けがの程度も説明が二転三転する。それでも保険金の支払いを求める椎名容疑者らの最大の誤算は、レンタカーに致命的な証拠が残っていたことだった。

「もっと行け! もっと行け!」

ドライブレコーダーの映像には椎名容疑者らの声で、乗用車に接近しているにも関わらず、ブレーキを踏むどころか、レンタカーをさらに近付けようとする様子が記録されていた。

損保会社は偽装事故と見破り、警視庁南大沢署に相談。椎名容疑者がこの事故から1年4カ月ほど前に、ほかの交通事故で保険金を受け取ったばかりだったという事実が判明するのも時間の問題だった。

■「清掃会社」の学生社長…加害者とは同級生

もう一つの事故が起きたのは22年7月19日午後10時25分ごろ、八王子市内でのこと。この現場も交通量が少ない直線道路だったが、石川竜容疑者(29)=東京都豊島区=の運転する乗用車が、団野、椎名両容疑者ら4人を載せて停車していた乗用車に低速で追突していた。

団野容疑者らは休業補償などの保険金計1200万円を受け取ったが、追突した石川容疑者と、追突された団野容疑者らが事故直前まで近くのコンビニ店で一緒にいたことが判明。4人とも警視庁交通捜査課に詐欺容疑で逮捕された。

団野、石川両容疑者は大学の同級生。しかも、損保会社に提出された書類で、4人の休業補償先として記載されていた清掃会社「スタークリーン」は団野容疑者が社長、椎名容疑者が取締役を務めていた。

同社は22年4月に設立された。清掃作業のアルバイト先で、椎名容疑者から次の仕事の相談を受けた団野容疑者が「起業」を提案したのがきっかけだった。登記上の業務は、ビルなどの清掃▽運送業▽ホテル経営▽解体工事請負-と多岐にわたっている。

捜査関係者によると、椎名容疑者は当初、清掃業の仕事を得るために精力的に営業活動をして回った。だが、団野容疑者は無関心を装うばかり。間もなく、偽装事故を起こして保険金を詐取するという「仕事」の内容が打ち明けられた。

団野容疑者らは2回以外にも数回、メンバーを変えながら同様の手口で保険金を詐取し続け、2年半余りで約5千万円を手にしたとみられる。椎名容疑者も次第に営業活動から足が遠のいていったという。

■「取り分少ない」…取締役の叛旗で発覚

休業補償、搭乗者傷害、人身傷害…。団野容疑者らは、1回の事故で最大限の保険金を受け取れるよう工夫を重ねていたようだ。

22年7月の事故では事前に2人の同乗者を同社の従業員とし、交通事故であれば保険金が2倍になる傷害保険に加入させた。首の捻挫などで医師の診断が難しい痛みを訴え、治療期間を延ばしてもいたという。

社長である団野容疑者のワンマンぶりは逮捕直前まで続いた。大学で政経学部法律政治学科に在籍していたこともあり、検察官による勾留請求が最長20日間しか認められないことを把握し、周囲に「20日間さえ頑張ればいいから」とうそぶいていたという。

実際、22年7月の事故で逮捕された団野容疑者ら4人のうち、椎名容疑者を除く3人は「本当に起きた事故だった」と容疑を否認しており、同課は団野容疑者の指示で口裏を合わせているとみている。

捜査関係者によると、詐取金の大半が団野容疑者に渡っていたとみられる。取締役である椎名容疑者でさえも事故前に給与を支給したことを理由に分け前を譲らなかった。事件発覚のきっかけとなった23年11月の事故は、処遇に不満を抱いた椎名容疑者が団野容疑者に叛旗を翻して起こしたものだった。

椎名容疑者は借金を抱えているといい、「取り分が少ないため、団野容疑者には内緒でやった」と供述。すでに取締役を辞任している。捜査関係者はあきれたようにこうつぶやいた。

「カネの切れ目が縁の切れ目だったのだろう」

コメント0

まだコメントはありません。最初のコメントを書いてみませんか?